エルガ実践講座 独立系 


 太陽光発電は、いくつかのタイプにわける事が出来ます。ここでは、電力会社と無関係に利用する「独立系」に焦点を当てて、選定や施工のポイントを説明します。太陽電池の基礎的な知識は、はぶきます。
大原則の注意点
1. 太陽電池の設置は、南向き(+-30度)を原則とし、傾斜角は、設置場所の緯度を原則とします。わが国ならば、30度位が適切です。
2. 影になる場所は、絶対に避けて下さい。
3. 結線は、きちんと行う事。ゆるんでいると発熱し、危険です。
4. プラスとマイナスは間違わずに、結線します。
5. 電子機器やバッテリーは雨のかからない、直射日光のあたらない所に配置します。日常の点検がしやすい配置にします。
6. 電線は、正しく選定して下さい。外部では外部用(CV, CEなど)を使います。許容電流以下で使用します。また、電流が大きくなり、電圧降下が大きくなりがちです。できるだけ太いものを選びます。結線にあたっては、防水施工を守って下さい。
7. バッテリー、電子機器は、ショ−トさせないで下さい。特にバッテリーには注意して下さい。
A. 太陽電池の選定
太陽電池は、バッテリーに充電する事を基本としたものと、連系システムを前提にした電圧の高いものとがあります。連系用の物は、独立システムに使用する場合は、コントローラーがない等、不都合が多々あります。単純にWあたりの単価が安いからと言って入手すると、使えないケースがあります。まず、組むシステムに似合った電圧かどうかを確認して下さい。
 独立系の場合は、17V前後の定格電圧になっていて、これを直列や並列につないで、必要な電力を取るようにします。
B. システムの各種
B -1. 太陽電池直結システム
 太陽電池と負荷が、直接に結ばれているシステム。(池循環用ポンプ参照)
        
システムは簡単ですが、それなりに注意する事があります。
1.  太陽電池の電圧が直接、利用する機器にかかるので、システムの電圧に注意しましょう。特に、機器の耐圧が、太陽電池の開放電圧以上である事を確認しましょう。負荷が軽い時は、太陽電池の電圧は、開放電圧の方へと高くなって行きます。
 [ 例 ]
 *開放電圧20Vの太陽電池と、耐圧15Vの直流12Vポンプを結ぶと、遅かれ早かれ、ポンプは壊れます。
定格電圧の+-10%と言うものが、多いです。
 *定格24Vのポンプも、電流が確保されるならば、12Vシステム用の太陽電池で動くものもあります。
2.  太陽電池と利用機器の間が長い場合は、電圧降下に注意しましょう。直流低電圧システムでは、大きな電流が流れます。できるだけ太い電線を使いましょう。
 [ 例 ]
 *17.4V、9Aの太陽電池電池の場合、CV3.5sq電線では、0.09V/mの電圧降下があります。20mでは、1.8Vも下がります。
電圧降下(V)=電線の長さ×2×最大導体抵抗×電流値
3.  直結なので、制御はお天道様です。必要ならば、制御システムを付加します。
 [ 例 ]
 *ポンプは、空運転はモーターの焼付けを起こします。水が無くなったら、止める必要があります。空運転防止装置のついたものにするか、フロートスイッチでon-offします。フロートスイッチも電源がいりますよ。この場合は、ちょっと頭を使わないとだめです。(弊社のKMP-3などを使う)
 **太陽の光に従って汲み上げる水を、上に設置したタンクに蓄えて、必要な時に利用します。それはちょうど、水タンクがバッテリーの代わりになったと考えられます。池循環でも、水タンクからの落水量を調節する事で、水の流れる時間・量を調整する事が出来ます。
4.  仕様機器の性能に気を付けましょう。
 *バスポンプの連続稼動可能時間は、30分と言うものが多いです。太陽電池直結では、すぐ壊れてしまう可能性があります。
5 . 朝、夕、曇りの時は、ポンプの電圧は急激に落ちます。
 * ポンプ出力を安定させて効率を改善する装置(リニアカレントブースター)もあります。
B -2. バッテリーシステム
 Aのシステムにバッテリーを備えて、必要な時に電源として利用します。(二子玉川のポンプシステム参照)
        
上記の負荷はコントローラから電力をとっていますが(照明、コンビュータ、テレビ等)、ポンプ等、瞬間的に大きな電流が流れたり、逆起電力が生じるものは、バッテリーから取ります。
このシステムは、バッテリーがあるので、起動時に大きな電流を必要とする機器や、夜の照明、コンピュ−タ等、広く利用する事が出来ます。逆に、適切に負荷の制御をしないと、使い過ぎてバッテリーを空にしてしまったりと言う失敗をやってしまいます。
 Fはヒューズです。ヒュ−ズについては、次の節で述べます。
* *コントローラについて
 バッテリーはかなりナイーブなので、電圧が低くなった場合(11Vを切る場合等)、逆に高くなった場合(14.5Vなど)、ダメージを受けます。時により、壊れてしまいます。
 コントローラは太陽電池からバッテリーへの充電が過充電にならないよう、また、負荷を使い過ぎて過放電状態にならないように、制御するものです。
 通常、過放電・過充電の両方の機能を持つものを使いますが、場合により、過放電機能を持たない方が良い場合もあります。(電気柵等)
 コントローラには、夜間出力する機能を持ったものもあり、照明に利用する場合は、便利です。
 パソコンでDC入力を受け付ける機種の場合、DC/DCコンバータ−を用意すれば、効率の良い使い方が可能です。デスクトップは結構、電気を食いますが、ノートパソコンならば、充分使えます。
* *負荷をバッテリーから取る
 ポンプ・モーター等では、瞬間的に過大電流が流れます。また、停止時に逆起電力が生じて、コントローラを狂わせたり、駄目にしたりする事があります。負荷は、バッテリーから直接動かします。次に述べるインバ−ターを使用する場合も、インバーターはこの組み方にします。大きな電流が流れる可能性があるからです。
 この場合、バッテリーが低電圧になった時でも、機器を停止する機能がありませんから、その機能を別に作る必要があります。 ご相談下さい。
B -3. インバーターシステム
 B-2のシステムにインバ−タ(直流-交流転換機)をつけ、通常の交流100Vを利用します。(金子氏のポンプ参照)
 
* *ヒュ−ズについて
 Fはヒュ−ズですが、大きさは太陽電池の充電電流、あるいは負荷に要する電流より少し大きいものを選定します。コントロ−ラとバッテリ−間に入ります。バッテリーとインバータ間のものは、インバ−タ最大出力に対応するものが必要です。24V-1Kwのインバータの場合、電流は約42A流れます。ところで、インバータは、突入電力に備えて、短時間はもっと大きな電流を流せるように作られているので遅断ヒューズと言って、ある時間、耐えるようになものを選定します。
* *インバーターについて
 直流を交流に転換する機械で、これにより、わが国では100Vの交流製品を使用するのが普通です。交流波形は大きく言って、矩形波とサイン波があり、電力会社の電気はサイン波です。矩形波は、角形の波を出力します。ポンプ等の動力には、この波でも問題はおきないものが多いです。しかし、制御機器等があると、壊れてしまう場合もあります。以前は、サイン波は非常に高価でしたが、最近ではかなりやすくなって来ているので、できることならば、サイン波を選定した方が無難です。
 上述したように、バッテリー-インバ−タ間では、大きな電流が流れます。太い電線を使います。メ−カーの指示に従って下さい。1M以下での使用が望ましいです。
 周波数は、50HZと60HZがありますので、注意して下さい。
* *バッテリーについて
 太陽光発電で相性の良いバッテリーは、EBタイプか、デ−プサイクルと呼ばれているタイプです。EBは電気自動車等に使われていて、補水が必要です。テ−プサイクルとは、たくさん放電した場合でも、繰返し充電がきき復活するタイプです。たいていは補水の不要なメンテナンスフリ−タイプです。こちらは少し、高くなります。
 2Vの物が6台、12台、24台と組になっているタイプもあります。
 バッテリーの良否は、システムの使い勝手に直接関係します。性能が落ちて来ると、夜間等の利用できる時間が減って来ます。満充電になっているはずなのに、大きな電気を使うと直ぐに電圧が落ちる場合は、早めに交換した方が良いです。交換にあたっては、新しいものと古いものとを一緒にしない方が望ましいです。悪い方に性能は揃ってしまいます。また、何台も並列につながないようにしましょう。3台をこえたら、充電、放電の両方の電線を両端からとるような結線方法が望ましいでしょう。

 
 バッテリーを扱う上での注意点は、何と言っても、ショートさせないと言う事です。スパナがプラスとマイナスの端子に同時に触れると、溶けてしまいます。設置した後も、何かの拍子で金属が端子に触れる事のないように、気を配って下さい。
 バッテリーどうしの「渡り線」も、できるだけ太いものを使います。結線は、タ−ミナル等を使い、しっかりと接続して下さい。
 補水の必要なタイプでは、水素を発生しますので、密閉した空間には、置かないで下さい。電極板が空気に触れますと、性能が落ちます。バッテリー液のラインは、常に監視して、補水を行って下さい。
C.
架台について
  太陽電池の各メーカーには、専用の取付架台が用意されています。しかし、それらの多くは3kwとか、5kwの連系用の物で、太陽電池一枚、二枚では、入手が難しいか、高くついてしまいます。自分で工夫して設置するケースが、多くなります。
 架台には決まった取付け方法はありませんが、風で飛ばされないことが重要です。
 屋根に取り付けるのが一般的ですが、地上設置が可能ならば それも検討して下さい。
 原則的には、次のように太陽電池をフレームで固定して、そのフレームを屋根や柱に取りけます。
 通常の太陽電池のフレーム裏面には固定用の穴が左右2箇所ずつあります。アルミ材などへステンレスのボルト(M6サイズ)などで固定します。本棚に良く使われる穴のあいたラックもいいでしょう。鉄材を使う場合は、必ずペンキをぬり、さびないようにしてください。材木は、4〜5年で腐りが入ります。特にビスを打込んだ所は腐りが早いので、できれば、材木は避けた方がのちのちの手間が省けます。
 フレ−ムの固定は、ワイヤーでしばったり、固定金具を使ったりします。
 設置する場合、出来る限り南側、東西30度振り分けるくらいの間の場所を選んで下さい。パネルの角度はわが国ならば、30度くらいがいいでしょう。影のかかる場所は、避けて下さい。皆さんの想像以上に発電能力は落ちます。

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